デッドロック
トリプルアップ配給協力作品
2021年5月15日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー!
スピルバーグが、ホドロフスキーが、タランティーノが絶賛した
白日夢クライム・アクション!
「ファンタスティックで、ビザールで、ギラついている」
アレハンドロ・ホドロフスキー
モーゼルC96 vs トミーガン!
どこでもない"アメリカ"の荒野で
男たちが奪い合うジェラルミンのスーツケース
中身は1枚のドーナツ盤レコードと$1,000,000!
荒野を彷徨うかのように逃げてきた傷ついた若い男……荒れ果てた家に住むさえない中年男と狂女、そして口のきけない美少女……黒づくめの殺し屋が静かにやって来る……墓場に埋められたはずの100万ドルを奪い合い、男たちの闘いが、いま始まる……。
わずか7人の登場人物、"アメリカ"が舞台でありながらイスラエル・ネゲヴ砂漠で撮影されたドイツ映画「デッドロック」は、伝説のジャーマン・ロックバンドCAN(カン)のサイケデリックなサウンドトラックが鳴り響き、明らかにセルジオ・レオーネの「続・夕陽のガンマン」(66)を思わせる物語にも関わらず、アレハンドロ・ホドロフスキーの「エル・トポ」(70)やジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」(78)の影響下にあるようなポストアポカリプス的雰囲気に溢れている。主人公たちが愛おしそうに操る武器、モーゼルC96やトミーガンも、前者はセルジオ・コルブッチ「殺しが静かにやって来る」(68)、後者がアーサー・ペン「俺たちに明日はない」(67)の魂を受け継いでいることは明らかだ。
まるで「マッドマックス」(79)や「パリ、テキサス」(84)や「バグダッド・カフェ」(87)など、後年の名作映画の場面を引用しているように思えるのだが、それはまったくの偶然だ。撮影されたのは第3次と第4次中東戦争の合間、イスラエル軍とヨルダン軍が砂漠をはさんでにらみ合っていた1970年なのだ。
監督・脚本・製作のローラント・クリック長編映画第2作の「デッドロック」は同年のカンヌ映画祭からコンペティション出品オファーを受けるが、ドイツ国内の監督や批評家から、映画が商業的すぎて、当時勃興していたニュー・ジャーマン・シネマを貶めるものだと出品を反対され、特別上映というかたちでの上映に。ところが当日が雨で少数の観客だけでの上映となりその後の「デッドロック」のカルト化に拍車をかけることになった。しかしドイツ国内では興行的に成功、ドイツ映画賞長編作品賞に選出される。その後ハリウッドやイタリア映画界(マカロニ・ウエスタン!)の誘いをすべて断り、テレビ・ドキュメンタリーやロメロの「ゾンビ」ドイツ語版製作に携わる。80年代、撮影開始直前に「クリスチーネ・F」を降板、続いて(ドラッグ中毒時代の)デニス・ホッパーと「WHITE STAR<未>」を作るが公開までに4年かかり、アメリカでは短縮再編集されてしまう。以後、クリックの名はドイツ映画界で話題に上ることもなかった。
2008年、ベルリンのある名画座が数少ないクリック作品のレトロスペクティブ上映会を開催。それをきっかけに再注目されて評価が高まり、クリックに関するドキュメンタリー映画も製作された。 また、わざわざクリックをハリウッドに招待したスピルバーグをはじめ。ホドロフスキーやタランティーノなどの有名監督がその自由さと大胆さを絶賛しクリックと「デッドロック」からの影響を認めている。
出演は、マカロニ・ウエスタン「暁のガンマン」「スペシャリスト」などで知られるイタリア系ドイツ人俳優マリオ・アドルフ、「ダイヤルMを廻せ!」や「007は殺しの番号」のイギリス人俳優アンソニー・ドーソン、「聖なるパン助に注意」などファスビンダー作品でおなじみのマルクヴァルト・ボーム、そして、同じくファスビンダーのSF「あやつり糸の世界」のマーシャ・ラベンら。音楽は、クラウトロック(ジャーマン・ロック)を代表するCAN(イエジー・スコリモフスキ監督「早春」)が担当している。ちなみにヴォーカルは日本人のダモ鈴木。
ファスビンダー、ヘルツォーク、ヴェンダース、シュレンドルフらニュー・ジャーマン・シネマの代表とされた監督たちと同世代でありながら、徒党を組むことを拒み、栄光に背を向けて独自の世界を追い求めた"ドイツ映画の孤狼"ローラント・クリックが、ついに日本に初上陸に果たす。
ドイツ映画界の孤狼ローラント・クリックの代表作がついに日本上陸!
音楽は、日本人ヴォーカル、ダモ鈴木を擁したクラウトロックの雄 CAN(カン)!
ドイツ映画賞長編作品賞(1971)
ストーリー
閉鎖された鉱山デッドロックの監督官ダム(マリオ・アドルフ)は、荒野で行き倒れになっていた男と大金が入ったジュラルミンケースをみつける。謎の若い男キッド(マルクヴァルト・ボーム)を殺しきれなかったダムは、彼を介抱してやる。デッドロックには、元娼婦のコリンナ(ベティ・シーガル)、その娘と思われる口のきけない美少女ジェシー(マーシャ・ラベン)がいて、キッドは異様な緊張感の中で身体を癒していく。数日後、キッドの仲間である死神のような非情な殺し屋サンシャイン(アンソニー・ドーソン)が村にやってきて、ダムをいびりまくって金を奪う。サンシャインは単身逃げようとするが、キッドとジェシーが罠を仕掛けていた……。
CAST
マリオ・アドルフ、アンソニー・ドーソン、マルクヴァルト・ボーム、マーシャ・ラベン
STAFF
監督:ローラント・クリック
音楽:CAN(カン)vo、ダモ鈴木
配給:オンリー・ハーツ、アダンソニア
配給協力:トリプルアップ
1970年 / ドイツ / カラー / 1.66:1 / 英語 / 85分 / 字幕:小泉真祐
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